ウクレレカフェのレッスンでは、ウクレレをただ弾くのではなく、ウクレレについても知ってほしいと思っています。
そのため、初回のレッスンでは、ウクレレの歴史やウクレレの種類、材質、ウクレレの各パーツなどについて説明する”座学”の時間があります。
初回のレッスンで、みなさんの「早く弾きたい!」という雰囲気を感じながらの”座学”の時間は、私も心苦しくはあります。
ただ、ウクレレのことを知った上で弾くのと、何も知らずに弾くのでは、「何か」が違うと思うのです。
私自身、ウクレレ教室に行っていた時、ウクレレの歴史や種類など知らなかったし、教わった記憶もありません。
それでも、ウクレレを弾くことはできました。
恥ずかしい話、ウクレレを教えるようになってからも、ウクレレの歴史など特に調べなかったし、当初のレッスンでは”座学”の時間もありませんでした。
レッスンを開始して、1年半ぐらいが経ち、あるフラ教室がハワイの文化を学ぶ講座を行うことになり、ウクレレ体験会の講師を頼まれました。
ハワイの文化を学ぶ講座の中でのウクレレ体験会だったため、ただ弾くだけではなく、ウクレレの歴史についても話そうと、自分でウクレレの歴史について調べました。
それまで、ウクレレの歴史なんて知らずに弾いていたけど、調べてみて、色々な時代の流れを経て、海を越えて、日本に伝わり、今自分も弾いていると思うと、感慨深いものがありました。
ウクレレのバックグラウンドを何も知らないと、ウクレレはただの楽器でしかなかったけど、知ると、より愛着のある大切なものに変わったように思います。
ウクレレについて知ることは、ウクレレを大切に扱うことにもつながると思います。
今の時代、インターネットで何でも買えます。
ウクレレも、検索すると、たくさんのメーカーの、色々なウクレレがヒットし、誰もが気軽に買えるようになり、楽器店が近くにない地域の人たちも、ネットで簡単にウクレレが買えるという点では、地域格差がなくなってよいことだと思います。
だけど、気軽に始められる分、気軽にやめられる楽器にもなりやすく、「とりあえず安いウクレレを買って始めよう」という方が多いのも感じます。
ウクレレは木で出来ていて、木は大切な資源でもあります。
ウクレレの代表的な材であるハワイアンコアは、原生のものは伐採が禁止されているので、植林して供給していたり、マホガニーも良質なものは減ってきているそうで、そういった背景を知ると、ウクレレ1本1本のありがたみを感じられると思います。
ウクレレの指板によく使われているローズウッドも、2017年にワシントン条約の対象になり、条約によって保護されることになりました。
木が減れば、ウクレレ自体の価格があがるし、それなら他の木で代用すればよいのかもしれませんが、果たして、それでいいのでしょうか。
ウクレレカフェのレッスンでは、ウクレレも大切な資源であることを伝えています。
ウクレレを気軽に買える世の中であっても、ウクレレの材やウクレレ自体が大切な資源だと知ってもらえたら、ウクレレを選ぶ、買うという時の気持ちも違ってくるのではないかと思います。
レッスン初回で、ウクレレを弾きたい気持ちを少しだけ待ってもらい、ウクレレについて知る”座学”の時間を設けることは、ウクレレカフェでは外すことのできない大切な時間として位置付けています。